彼奴と初めてであったのは、
俺が三仏神の命をうけて八戒を探していた時だった。
正確には、八戒ではなく、猪悟能と言う名だったが。
町で、ある男が猪悟能をかくまっていると話を聞いて、
俺は町外れにある小さな家を訪れた。
戸を叩くと、
中から聞こえたのはかなり気の抜けた声だった。
暫くして戸が開いた時に出てきたのは、
長い髪の...。
「...?、あんた男か?」
つい心の声が出てしまった。
「俺が女に見えてんなら、いい眼科紹介するぜ?」
長い髪の、男だった。
暗闇であまり分からないが、紅色の髪だ。
この髪の色は...。
「...んで、何のよう?」
「あぁ、夜分遅くにすまない。人を探している」
そう言うと目の前の男は一瞬目を見開いたが、
何も知らないと言う素振りを見せた。
嘘が苦手のタイプらしい。
「嘘をつくといい目にはあわん。
罪人を匿えば、同罪になる」
「んなこと言っても、知らねぇもんは知らねぇの。
つーか、何で坊さんが罪人探してんのよ?」
らちがないので俺は男の家のドアノブを握った。
その時、男は条件反射なのか知らないが、
俺が手を捻る前にそれを阻止した。
「ふほーしんにゅう」
「まだ入ってはいない」
かなり近くに顔がある。
このまま口を割らないようだったら、
このまま犯してしまおうかと考えたが、
流石に止めといた。
猪悟能を何故匿っているかは知らないが、
俺を真っ直ぐ見つめる紅色の瞳は
こんなにも外が真っ暗なのに、
月の光ひとつで美しく輝いていた。
──トラワレル。
その考えを振り払うように、
俺は銃を取り出し、一発ドアにぶちこんだ。
俺と悟浄の出会いは、
かなり最悪だったことを覚えている。
※出会いばかっりですみません。
現在は違うのも書いています。
[5回]
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