花粉症の季節。
この時期はどうも俺は苦手で、毎年くしゃみの嵐だ。
去年はくしゃみと鼻水が止まんなくて、最悪だった。
そして今回は、俺だって一応学習能力はあるわけで、
花粉症の薬を既に医者から貰ってきている。
だから今年はいつものように、
今のところ快適に生活することができている。
(そいやー、克哉のやつ、もうすぐ帰ってくる頃だよな?)
時計を見ると、もう夕方の七時だ。
あいつがMGNで働き始めてから、
ずっと俺の方が先に仕事が終わるのが早い。
(だから、どうってわけじゃねぇけど...)
その時、玄関の鍵が開く音がした。
「ただいまぁ...」
そう聞こえてきて、俺は玄関まで克哉を迎えに行く。
「お帰り、克哉(笑)」
俺が克哉の手に持っている荷物を持とうとしたとき、
克哉は「病院に行ってくる」と言った。
「え...、熱、あるのか?」
「ううん。ないよ」
「どっか痛てぇのか?」
「痛くないよ」
「じゃあ、どうしたんだよ!?」
俺がそう聞くと、克哉は困ったように「耳鼻科」と答えた。
「耳鼻科?」
俺がそう聞き返したが、克哉から返ってきた返事は、
「くちゅんっ」
と、あり得ないくしゃみ。
「は?...おい、克哉?」
「くちゅんっ、な、何?」
...とりあえず、克哉を部屋に連れ込んだ。
「お前、花粉症だったのか...」
「そうだよ...。くちゅんっ」
さっきからくしゃみをしている克哉だが、
どう考えてもそんな可愛いくしゃみ、
女でもできないと思う。
「なぁ、本多っ、くちゅんっ」
可愛すぎて、克哉が言ってることの半分くらい、
聞き取れていない。
「オレ、オレっ、くちゅんっ、耳鼻科に行きた、
くちゅんっ、行きたいんだけど...?」
本当は「可愛いから、このままで」って、
言いたいんだが、克哉が苦しそうだったので、
俺は常備していた花粉症の薬を克哉に出した。
「本多も、くちゅんっ?」
途中でくしゃみが出て、何て言ったのかは分からないが、
たぶん俺も花粉症なのか、聞いたんだと思う。
「まぁな(笑)」
「へぇ...っ、くちゅんっ」
克哉は俺が出した薬を水で飲むと
、にこにこと笑いながら、薬の効果が出るまで、
何回も可愛すぎるくしゃみをしていた。
「くちゅんっ、くちゅんっ!!」
(可愛すぎるだろ...)
花粉症の季節も、ちょっと悪くねぇか、
と思った一日だった。
※花粉症ネタです。
克哉は可愛いので、本多みたいな
バカでかいくしゃみはしないんじゃないかと
妄想した結果がこれです。
実は私も花粉症で、この季節は
かなり辛いです...。ずず...っ。
...と言いますか、この小説、
かなり前に書いたものでした...。
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